単元名「「日曜日よりの使者」の弾き語りに挑戦しよう! 」
単元の目標
(1)曲想と楽器の音色や奏法との関わりについて理解するとともに、創意工夫を生かした器楽表現をするために必要な、曲にふさわしい奏法,身体の使い方などの技能を身に付ける。
(2) 音色、リズム、強弱を知覚し、その働きを感受しながら、知覚したことと感受したこととの関わりについて考え、どのように演奏するかについて表現意図をもっている。
(3) 奏法と音色や音色と曲想の関係に関心をもち、主体的・協働的に器楽の学習活動に取り組むとともに、音楽を愛好する心情を育む。
題材の評価規準
未来課題
「あなたは音楽プロデューサーです。新人歌手が「日曜日よりの使者」をカバーすることになりました。レコーディングに向けて、新人歌手に表現の工夫を解説し模範演奏してください。」
指導と評価の計画
授業の実際
第1時から第4時までに、〔共通事項〕(1)ア、イ及び「音楽活動を成立させるための技能」に重点を置いた活動をしっかりと行い、第5時から第8時でで表現を創意工夫する活動を行った。
題材振り返りシート
未来課題の実際
「技能」の評価
実際の演奏では、場面ごとにストローク奏法のリズムを変えて演奏することで、それぞれの音色に変化をつけることができていた(「おおむね満足できる」状況)。また、何名かの生徒は、教科書の譜例にはないアルペジオで演奏したり、強弱に合わせてピックの使い方を変えたり、ピックを使う場面と指で弾く場面に分けるなど表現がより明確になるように創意工夫していた(「十分満足できる」状況)。この表現の工夫の意図やその根拠を記述や口述で説明できている生徒は「思考・判断・表現」の評価も「十分満足できる」状況だと考えられる。
「思考・判断・表現」の評価
ワークシートには以下のような記述があった。ほとんどの生徒が曲想の変化を奏法の違いによる音色の変化やリズム、強弱と関わらせて考えている様子(「おおむね満足できる」状況)が見られる。
「主体的に学習に取り組む態度」の評価
各時の学習活動において、下表のような場面での生徒の活動の様子、発言やつぶやきなどを観察し、観察では見取ることができなかった生徒の取組状況は振り返りシートの記述を補完的に扱いながら、第8時に総括的に評価した。
評価の各観点のつながり
実践の効果
Q1~Q3より、 「未来課題」に取り組んだことに対して、事後アンケートでは、ほとんどの生徒が肯定的に回答している。特にQ2の肯定的な理由からは、音楽プロデューサーという役割を演じることで、誰かに「教える」という視点がモチベーションになったことや、課題そのものや課題によって見通しが持ちやすかったことが読み取れる。また、グループ活動で新たな考えを得たことなども理由として述べており、「未来課題」に取り組むことが積極的に授業に参加する意欲となっているのが分かる。このことから、今回の題材では「未来課題」の設定が、学びに向かう力の育成にも有効だったと捉える。
実践報告書